トラン プ政権のエネルギー・環境政策(前田一郎)

2017年9月2日の記事

2017年度第2回講演会は、2017年9月2日、JICA地球ひろば2階 セミナールーム201ABにて行われました。今回は長年、エネルギー・環境問題を専門に国際舞台で活躍してこられた環境政策アナリストの前田一郎氏に、『トランプ政権のエネルギー・環境政策』について講演いただきました。

トランプ政権発足後8ヵ月、「アメリカ・ファースト」の下で、これまでとはかなりニュアンスの異なる外交・通商・安全保障政策が打ち出され、その結果、世界各国で戸惑いや混乱が広がっています。とりわけ、トランプ政権の通商政策は”自由でフェア”といわれながら、実際には米国品輸出拡大を強化する形となっており、エネルギー・環境政策も露骨な国益・米企業益追求型となっています。トランプ大統領は、TPPからの撤退、パリ協定からの離脱、北米自由貿易協定(NEFTA)の再交渉などを掲げていますので摩擦や混乱は今後も続き、日本への影響も強まるものと思われます。

トランプ大統領の経済政策について、前田一郎氏は次のように言っています。
「トランプ大統領の経済政策の最優先課題は雇用の創出であり、加えて税収の拡大が重視される。この両方の政策課題に合致するのが原油・天然ガスの増産であり、そのためにトランプ大統領はインフラ投資コンセプトを前面に押し出している。」

こうしたこととの関連を含め懸念が高まっているのが環境政策です。ご承知の通り、6月1日、トランプ大統領は、公約どおり、パリ協定からの離脱を宣言しました。とくに注目されるのは、同日、トランプ大統領が会見の中で米国の雇用の拡大と経済成長の維持を強調し、パリ協定を他国の便益に対して米国を不利益にさせる協定の一例であると断言し、同協定からの離脱は鉄鋼・石炭を含む米国製造業にとってよいことであると述べたことです。
パリ協定で米国は2005年に比して2025年26-28%の温室効果ガスを削減することになっていましたが、離脱によりこの義務を果たす必要はなくなります。

アメリカの環境政策はどこに行くのか、また、アメリカのグローバルなリーダーシップは無くなってしまったのか・・・・等、会場からも多彩な質問が飛び出し、有意義な講演会になりました。