【政策パネル】激動の世界と日本:政策の貧困が招く不幸の拡散-欧州、中東、中央アジアの現実に見るグローバル化の挫折(唐沢敬)

2017年7月2日の記事

2017年7月1日、JICA地球ひろば6階 セミナールーム600にて政策パネルが開催されました。政策パネルは定期的に行われる『講演会』とは趣を異にして講演会を更に発展させ特定の分野、課題の調査・研究を進めます。今回は当インスティチュート代表の唐沢敬が報告者を務めました。
政策パネル前半は唐沢敬(国際研究インスティチュート代表、立命館大学名誉教授)より「激動の世界と日本:政策の貧困が招く不幸の拡散-欧州、中東、中央アジアの現実に見るグローバル化の挫折」のテーマにより報告がされました。後半は共同通信論説委員長の杉田弘毅氏をモデレーターとして幅広い議論が行われました。
報告者、唐沢敬は、一昨年以来英国を前後6回、UAE(アブダビ・ドバイ・フジャイラ)その他を7回訪問しながら調査研究に従事し、本年4月にはカザフスタンでの国際会議参加と国立研究技術大学での講義を実施してきました。今回の政策パネルではこうした一連の調査研究を通して浮かび上がってきた世界経済と政治秩序の変化の実態が詳しく報告されまた。
国民投票で英国のEU離脱(Brexit)が選択されたのが昨年6月、これを一つの契機に世界の様相はまた一つ変化したように思います。米欧諸国からアジア・アフリカ・中東地域にまたがって一般の予想を大きく越える事件が相次ぎ、政治秩序と経済体制が根底から揺らぐ事態となっているからです。難民の大量発生と欧州への流入、テロの多発、中産階級の没落、経済社会の分断、政治変動の進行等に代表される事態ですが、世界経済と国際関係が新たな歴史的過程に入りつつあることは間違いないようです。
こうした状況は日本の政治経済、とりわけ、アベノミクスやその成長戦略、企業活動、国民生活等にも直接影響する内容を含んでおり、国民的な議論が求められています。しかし、これまでの議論にみるかぎり、その多くはトランプ大統領個人の言動やそれに対する反論など個別的、表面的な問題に終始し、歴史的な過程の進行や国際環境の変化、とりわけ、アメリカ主導による戦後世界秩序の動揺や世界経済の歪な発展、金融資本主義化、中産階級の没落等といった問題の本格的検討にまでは至っていません。
今回の政策パネルでこうした問題に多少でも手がかけられればと願い開催されました。多くの方々のご参加を賜り幅広い議論と政策研究に繋がりました。